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ファナック株式会社 (FANUC CORPORATION)

ロボドリルのサイクルタイムを短縮する“現場小技集”

2026/10/22
コラム記事

ファナックのロボドリルは、高速動作と高剛性による高い生産性が売りの小型切削加工機です。しかし、実際の現場では「安全側に振りすぎた設定」「昔のままのNCプログラム」などが原因で、本来の性能を発揮できていないケースも少なくありません。本ページでは、現場ですぐ試せる「サイクルタイム短縮につながる小技」を紹介します。

目次

ロボドリルのサイクルタイム短縮の勘所

ロボドリルは一般的なマシニングセンタと比べて動作がキビキビとして速いため、「十分速い」と感じて 実際の動作を細かく見直していない 現場も多いのではないでしょうか。サイクルタイム短縮に取り組む場合、回転数や送り速度といった 切削条件の変更 で済ませがちですが、実際にはそれ以前に、

・ 同時指令可能な動作を別々に指令している
・ 安全を見過ぎて余計な退避動作があったり、アプローチ距離が長くなっている

といった 非切削時間の無駄 が積み重なっているケースが多いのです。サイクルタイム短縮の基本は、 加工していない時間を減らすこと です。本記事では、 現場の既存設備ですぐ試せる改善ポイント に絞って紹介します。

ロボドリルの強みを活かす ― 同時指令の活用

ロボドリルでは、機械動作の一部を 同時に指令・実行 することが可能です。

工具交換指令

ロボドリルは一般的なマガジン式のマシニングセンタとは異なり、タレット式の工具交換装置を採用しています。このため工具交換動作も独自制御になっており、以下のような特長があります。

・ 自動的に主軸回転停止・位相決めをしながらZ軸原点まで移動する
・ 工具交換動作(Z軸とタレット軸)とテーブル位置決め動作(XY軸および付加軸)を同時に行うことができる

このため、サイクルタイム短縮のためには以下のようにプログラムを作成してください。

・ 工具交換指令前に主軸停止(M05)やZ原点復帰(G28Z0)を入れない
・ 工具交換指令と位置決め指令を1行で指令する(G49M6T_G00X_Y_B_C_)


その他の代表的な同時指令

・ 主軸回転指令とZ軸アプローチと工具長オフセットの同時指令(M03S_G43Z_H_)
・ 回転軸のブレーキクランプ/アンクランプ指令の2軸同時指令(M68M71 / M69M72)

軸移動の無駄の見直し ― 移動距離の最適化

必要以上あるいは必要の無い軸移動も、サイクルタイムが長くなってしまう主要な原因です。

不要な退避動作が入っていないか

CAMがデフォルト設定のままだったり、他の機械のプログラムを使いまわしていると、以下のようなプログラムになりがちです。

・ 1か所加工するたびにZ軸がかなり上まで退避している
・ 1つの工程が終わるたびにXY軸を機械原点まで退避させている

Z軸の退避量をワークや治具と干渉しない程度に抑えることで、複数個所を加工する際の位置決め時間が短縮できます。また、ロボドリルはXY軸上のどの位置でも工具交換が可能なため、XY軸の退避動作は工具交換時の治具干渉が特に無ければ不要です。 簡単に修正できて明らかな改善効果 が得られます。


Z軸のアプローチ高さは最適か

安全を見過ぎたプログラムでは、穴あけ加工時のイニシャル点・リファレンス点の位置が高すぎる場合があります。ワーク寸法に合わせて適切な高さに設定することで、切削送り時間を短縮することが出来ます。特に加工穴数が多い場合は 数秒以上の短縮 に繋がることもあります。

加工様子

プログラムのクリーニング ― 不要な指令の削除

修正を繰り返しながら長期間使われているプログラムほど、指令が重複していたり、意味の無い指令が残っていたりしがちです。

・ 同一方向の位置決め指令を数回に分けている
・ 前工程と同じ工具なのに、工具交換指令が入っている
・ クーラントON/OFFや付加軸制御クランプなどの、同じMコードの繰り返し

これらの指令は一見問題無さそうに見えますが、位置決め動作は指令毎に減速停止するので時間をロスしますし、Mコードなど指令によっては内部処理時間が発生していることがありますので、サイクルタイムを少しでも短縮したい場合はなるべく削除したいところです。

小さな改善を積み上げる現場アプローチ

本ページで紹介した内容は、どれも単体では劇的な変化は見えないかもしれません。しかし、これらの改善をひとつひとつ積み上げることで、 1サイクルあたり10%以上の短縮 に到達することも珍しくありません。

 ▶ 重要なのは、「切削条件を上げる前に、非切削時間の無駄を減らす」という視点です。

ロボドリルは速い。だからこそ、 限界まで速く使えているかを疑うこと が、サイクルタイム短縮の出発点となります。

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