ロボット新技術：オープンプラットフォームとフィジカルAI

オープンプラットフォーム対応でフィジカルAI実装を加速

ファナックは、AIの進化をロボットに適用して自動化を加速させるため、オープンプラットフォーム対応を強力に推進します。その一環として、オープンソースのロボット開発プラットフォーム「ROS 2」上でファナックロボットを駆動する専用ドライバを、オープンソースソフトとしてGitHub（ソースコードの保存・共有・管理ができる世界最大級の開発プラットフォーム）に公開したことをお知らせします。当社ロボットはAI開発で広く使われるプログラミング言語「Python」も標準で搭載しており、オープンプラットフォーム上のフィジカルAI実装に最適です。

近年、LLM（大規模言語モデル）を始めとするAIの進化は、知能と実際の動きを組み合わせた「フィジカルAI」として注目されています。ロボットがセンサを通じて周囲を認識し、自ら判断して動作する技術は、フィジカルAIとして有望な適用先の一つです。

次世代高速通信で接続したクラウド（データセンタ）やエッジサーバの計算資源も柔軟に活用できるのもオープンプラットフォームの利点です。

多くの企業、スタートアップ、大学や　研究機関がROSやPythonを用いてフィジカルAIの研究を進めています。ファナックロボットのROS 2ドライバソースコード公開およびPython実行、高速な外部指令入力といったオープンプラットフォームの対応により、可搬質量3キロの小型ロボットから2.3トンの大型ロボットまでのラインナップ豊富な、信頼性の高いファナックロボットと最新AI技術を組み合わせたフィジカルAIとして、生産現場導入が可能になります。

本年12月開催の国際ロボット展では、オープンプラットフォーム上に実装されたフィジカルAIアプリケーションの実例を初公開します。来場者は、実際に動くファナックロボットのシステムを見て、触って、話しかけて、最新のAI技術がどのように現場で活用できるか、実体験することができます。

ファナックROS 2ドライバの特長

• 高精度・リアルタイムな動作制御を可能にするros2_controlのフレームワークに対応しました。
• 業界最高水準1msの超高速制御に対応しています。
• ファナックの協働ロボットCRXシリーズに加え、可搬質量3キロの小型ロボットから2.3トンの大型ロボットまで、このROS 2ドライバを通じてファナックロボットに接続することができます。

ソースコードをGitHubにて公開中

GitHub

NVIDIAとの協業によるフィジカルAIとデジタルツインの推進

ファナックはNVIDIAと協業し、産業用ロボットのフィジカルAI実装を推進します。さらにファナックロボットは、NVIDIA Omniverseライブラリを基盤とするオープンソースのロボットシミュレーション用レファレンス フレームワークであるNVIDIA Isaac Simにより、フォトリアルな仮想工場におけるデジタルツインを実現します。

• 前述の、ファナックロボットによるフィジカルAIアプリケーションでは、ロボットシステム向けの組み込みコンピュータNVIDIA Jetson と、NVIDIAのAIインフラを使用しています。NVIDIAのAIプラットフォームがファナックロボットと組み合わされた相乗効果を、国際ロボット展の会場でぜひご体験ください。
• ファナックロボットはNVIDIA Isaac Simに正式対応します。ファナックの協働ロボットCRXシリーズに加え、可搬質量3キロの小型ロボットから2.3トンの大型ロボットまで、Isaac SimのOpen USD SimReadyアセットとして選択可能になります。ロボットアプリケーション開発者は、Omniverseライブラリを活用したリアルな仮想工場にファナックのロボットを自在に配置し、AI学習データの取得・生成と正確なシミュレーション、生産稼働テストを効率的に行うことができます。
• ファナックのロボットシミュレーションソフトROBOGUIDEとNVIDIA Isaac Simを統合させることで、ロボット実機と同じアルゴリズムを使った正確な軌跡とサイクルタイムで、現実のロボット動作をIsaac Sim上で完璧に再現可能です。国際ロボット展の会場では、フォトリアルな仮想工場でファナックのロボットが稼働している様子を実際にご覧いただきます。

NVIDIA Isaac SimとファナックROBOGUIDEによるフォトリアルな仮想工場

（2025年12月）