お客様の生産性向上
ファナックはお客様の工場の自動化・ロボット化と稼働率向上を追求しています。出荷後の商品の故障情報を解析し、信頼性を追求する研究開発を継続して行うことにより、高い稼働率を実現しています。
FA事業
FA事業では、工作機械をはじめとする様々な機械に搭載される高信頼性のCNCとサーボを提供し、機械の使いやすさ向上や、CNC技術とデジタル技術の連携による生産性向上、小型化による省スペース化を実現しています。
また、高品位な加工のための豊富な制御技術により、機械ユーザの製品の品質向上にも貢献します。ファナックのCNCとサーボが搭載された機械を使用して様々な工業製品が製造されることにより、社会全体の生産性向上を目指しています。
シミュレーション機能の開発 | CNCガイドやCNCシミュレータの開発により、実際に工作機械がない状況でも加工プログラミングの教育などを行うことが可能になりました。これにより、製造業の教育現場での教育効率が向上するとともに、機械設備の必要な台数が抑えられ、資源の削減を後押しします。 また、CNCの動作を再現するCNCガイド2を利用したCNCのデジタルツインを活用し、実加工前に加工結果を予測することで、加工プログラムのプログラムミスの検出や加工条件の最適化が可能となり、実加工時の加工ミスによる不良品の個数を削減することができます。これに伴い、発生する切削粉やクーラントの排出も低減され、それに付随する作業(切削粉の定期的な廃却など)や加工時の消費電力の削減によるコスト削減も見込まれます。 |
---|---|
カスタマイズ機能の開発 | お客様である各工作機械メーカが提供する工作機械の構造や機能はそれぞれ異なるため、要求される操作画面や制御機能なども異なります。画面作成や信号制御などの部分をお客様が簡単にカスタマイズできる機能を開発することにより、お客様は自社の機械に適した操作性をオペレータに提供できるようになります。 |
サーボ学習オシレーション | 金属加工の自動化を難しくする最大の要因は、旋削時や穴あけ時に長い切り屑がワークや工具に絡まる現象です。また、長い切り屑は、廃棄処理が難しい、工具が破損しやすい、加工面が傷つきやすいという問題もあります。この機能は、旋削時や穴あけ時、さらにねじ切り加工時に切り屑を細断することで、それらの問題を解決します。 |
ファストサイクルタイムテクノロジー | 加工時間を短縮するための機能群です。機械の実加工動作の最適化や非加工時間の短縮を行うことで、加工全体の時間を短縮し、機械の生産性向上を実現します。 |
サーボガイド、AIサーボチューニング | お客様である機械メーカ向けに、サーボモータ制御用パラメータの高度な調整を簡単に実現する支援ツールを提供しています。AIを活用した調整支援機能も搭載し、工作機械の加工性能を向上させます。 |
AIサーボモニタ | ファナックのCNCとサーボのデータを利用することにより、別置センサの後付けが不要で工作機械の主軸や送り軸の故障につながる変化を検知します。 主軸や送り軸の部品損傷などの変化をAIサーボモニタが検出して、工作機械の突然の故障を防ぎ、生産・保全計画の安定化に貢献します。 |
iHMI / iHMI2 | 工作機械を実際に使うオペレータの操作を簡単にするためのユーザインタフェースを提供します。 |
工場全体の稼働把握と改善 | FIELD system Basic Packageを利用することで、工場に設置された工作機械の稼働状況を把握して、生産ラインなどでボトルネックとなる加工工程の発見が可能となり、工程改善を行いやすくします。 |
ファインサーフェステクノロジー | 高品位加工を実現するCNCとサーボの制御技術です。これにより、加工面の磨きなどの後工程の作業量を低減することができます。自動車部品などの製造においては、要素部品の低摩擦化が期待でき、結果として、自動車の静粛性が高まることで騒音問題などの解決につながります。 |
故障診断機能 予防保守機能 |
ウォーニングやアラーム発生時、ガイダンスなどで原因、対策を示し、復旧時間を短縮する故障診断機能や、故障の兆候を検知する予防保守機能により、機械の停止時間を低減します。 |
スピンドルモータの出力向上 | ステータを熱伝導率の高い樹脂でモールドして放熱性能を向上し、サイズを変えることなくスピンドルモータの出力を向上させ、工作機械の加工性能向上に貢献します。 |
FA事業に関する受賞
第67回 日刊工業新聞社 十大新製品賞 本賞 受賞 (2023)
FANUC αi-D series SERVO
第43回 精密工学会技術賞 本賞 受賞 (2023)
ファナックCNCのデジタルツイン(業績題目:工作機械の高精度なデジタルツインを実現する各軸の動特性を考慮した数値制御装置の高速シミュレータ)
ロボット事業
CNCとサーボの基本技術を応用したロボットは、人間が行っていた作業を行い、3K(危険・汚い・きつい)作業から労働者を解放するとともに、労働時間の短縮や夜間勤務の解消など、働き方改革にも貢献します。視覚センサや力センサによるロボットの知能化により、活用分野はさらに広がる見込みです。
また、ロボットにより生産ラインの自動化と効率化が図られるほか、ロボットの長時間連続生産により、製品品質が向上・安定化します。
省スペース化 | スポット溶接、ハンドリング用途で使われる FANUC Robot R-2000iD では、設置面積を従来機比で23%削減しました。 多くの機種で棚置き・壁掛け・天吊りなどの設置方式のバリエーションに対応し、工場レイアウトの最適化により省スペース化を図ります。 また、新ロボット制御装置R-50iAを開発し、制御装置の設置面積を従来機比で20%削減し(Bキャビネットの場合)、省スペース化しました。 |
---|---|
ロボットの高速化 | ファナックは世界初の実用学習ロボットとして特許を取得しています。従来の車体溶接ラインの例では、ロボットを30台使用した場合、学習前と学習後でサイクルタイムが10.2%短縮しました。 |
費用対効果の向上 | 協働ロボットを搭載した無人搬送車 (AGV) を自律移動させることで、1台のロボットが複数箇所で作業可能となり、サイクルタイムが長い工程でロボットの稼働率が向上します。 |
自動化システム設計支援ツール | 機械とロボットの最適配置を自動的に算出するソフトウェアROBOGUIDEにより、自動化システムの設計に要するトライ&エラーの時間を削減できます。ROBOGUIDEを使用して動作プログラムを最適化することにより、サイクルタイムを短縮します。 |
ダウンタイムの低減 | ゼロダウンタイム (ZDT) は「壊れる前に知らせる」機能で、工場の稼働停止時間を低減することで生産性を向上させます。世界中で35,000台以上と接続し、2,000件以上のダウンタイムを未然に防止しました。 |
稼働監視のリモート化 | ネットワークを通じ、ロボットの教示操作盤の画面をリモートPCから閲覧することができます。ロボットの稼働状況を見回る必要がなく、事務所から多数のロボットの状態を簡単に確認することができます。 |
ソフトウェア提供プラットフォーム | 協働ロボットCRXでは、サービス員がお客様の工場を訪問して設定を行わずとも、お客様自身でウェブサイトから最新ソフトウェアをダウンロードし、随時アップデートできるプラットフォームを確立しました。常に最新のソフトウェアで稼働させることができます。 |
システム構築支援 | 新ロボット制御装置R-50iAを開発し、PYTHON*、VISUAL STUDIO CODE**、ソフトPLC、ROS1 / ROS2、PLCモーションなど、多彩なインターフェースで、立ち上げ時間の短縮、コストの削減を支援します。 *「Python」 は、Python Software Foundationの登録商標です。 **「Visual Studio Code」は、Microsoft Corporationの商標です。 |
設備コストの低減 | 自動車の車体塗装で使用される7軸ロボットP-1000iAは、従来の6軸ロボットと比較して、塗装ブースの大幅なダウンサイズに貢献します。塗装ブース建設時のイニシャルコストおよび空調等に掛かるランニングコストを大幅に低減することができます。 |
リモート保守 | 新ロボット制御装置R-50iAを開発し、お客様がスマートフォンをロボット制御装置に接続することで、ファナックのサービス員がお客様の工場を訪問することなく、リモートで保守対応を行うことができます。万一の際にも、迅速なロボット復旧を支援します。 |
ロボット事業に関する受賞
第70回(令和5年度)大河内賞 大河内記念生産特賞 受賞(2024)
FANUC Robot M-2000iA
2022年 日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞/第65回 日刊工業新聞社 十大新製品賞 本賞/2022年度グッドデザイン賞 グッドデザイン・ベスト100 トリプル受賞(2022)
FANUC Robot M-1000iA
第10回技術経営・イノベーション大賞 科学技術と経済の会会長賞(2021)
第9回ロボット大賞 経済産業大臣賞/2020年 日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞/第63回 日刊工業新聞社 十大新商品賞 本賞 トリプル受賞(2020)
FANUC Robot CRX-10iA
2019年 日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経産業新聞賞/第62回 日刊工業新聞社 十大新製品賞 本賞 ダブル受賞 (2019)
FANUC Robot R-2000iD/210FH
第8回ロボット大賞 経済産業大臣賞・総務大臣賞 ダブル受賞 (2018)
ゼロダウンタイム (ZDT)
ロボマシン事業
ロボマシン事業では、CNCとサーボの基本技術を応用し、ロボドリル(小型切削加工機)、ロボショット(電動射出成形機)、ロボカット(ワイヤ放電加工機)からなる3つの商品群を提供しています。いずれも高性能・高稼働率を誇り、お客様の工場のIoT対応を実現します。
省スペース化 | 高い加工性能を備えた小型のロボドリルは、工場の省スペース化と工場レイアウトの自在化を可能とします。 |
---|---|
加工時間の短縮 | ロボドリルでは、工具交換とテーブル位置決め動作のオーバーラップなど、無駄時間の徹底削減によりサイクルタイムを短縮し、高生産性を実現しています。また、特殊な工具による新しい加工方法への対応も積極的に進めています。 |
AIバックフローモニタ | ロボショットにおいて、消耗品(逆流防止弁)の摩耗状態をAIで評価・予測し「壊れる前に知らせる」予防保全を行います。従来目視で行っていた摩耗状態の確認が不要となり、作業負荷を低減します。 |
標準機の多機能化 | ロボショットにおいて第2射出装置を開発しました。機能要求の異なる2種類の樹脂材料を1つの金型の中で成形することで、高付加価値成形と組立工数削減が両立できます。 |
AI熱変位補正機能 | ロボカットの温度変化による加工精度変動を、AI技術の活用により予測・制御し、 補正精度を従来機比で約30%改善しています。 |
高信頼性自動結線 (AWF3) | ロボカットにおいて、不慮のワイヤ断線時でも、自動的に結線復旧できる高信頼性自動結線により、長時間の無人運転が可能となります。 |
ジョブ割込み機能 | ロボカットにおいて、加工中に優先度の高い別の加工を割り込ませて行う必要が生じた場合に、現在の加工を中断して別の加工を行い、終了後に元の加工を簡単に継続できる機能を開発しました。これにより、機械の柔軟な運用が可能となり、お客様の生産性が向上します。 |
ノズル開放加工における高精度化 | ロボカットにおけるノズル開放加工において、従来より加工精度が大幅に向上しました。高精度化により、加工物の後工程の削減や時間短縮が可能となり、生産性が向上します。 |
FIELD system Basic Package ROBOSHOT-LINKi2 ROBOCUT-LINKi |
工場全体の稼働状況をリアルタイムで監視し、異常の早期発見およびリカバリをサポートし、工場設備の稼働率向上に貢献します。 ROBOSHOT-LINKi2では、接続できる射出成形機の台数とデータ保存数を大幅に拡張し、タブレット等の携帯端末からも閲覧可能としました。さらに定期点検試験機能により、点検作業のスケジュール管理から作業の記録までを総合的に支援します。 |
ロボマシンのロボットパッケージ | ロボマシンとロボットを組み合わせた自動化導入パッケージで、ロボットシステム構築への技術的ハードルを下げます。 簡単設置、簡単設定、簡単操作で設計工数やシステム立ち上げ時間を大幅に短縮します。 ● ROBODRILLロボットパッケージ 切削加工システムの自動化をサポートします。 ● ROBOSHOTロボットパッケージ 射出成形システムの自動化をサポートします。 ● ROBOCUTロボットパッケージ ワイヤ放電加工システムの自動化をサポートします。 |
ロボショットの流動解析ソフト連携 | ロボショットの流動解析ソフトとの連携機能は、金型設計時に流動解析ソフトで検討された成形条件をシームレスにロボショットに適用可能となり、成形条件調整の初期段階における条件設定の手間が軽減され、生産性向上に寄与します。 |
ロボマシン事業に関する受賞
第51回機械工業デザイン賞IDEA日本産業機械工業会賞 (2021)
ROBOSHOT α-SiBシリーズ 搭載表示装置 PANEL iH Pro
第64回 日刊工業新聞社 十大新製品賞 本賞 受賞 (2021)
ROBOCUT α-CiC
第66回 大河内記念会 大河内記念生産特賞 (2019)
ROBOSHOT
一般社団法人プラスチック成形加工学会「青木固」技術賞 第5回(1994年度)/第28回(2017年度)
全電気式射出成形機におけるAI圧力追従制御の開発(1994年度)
逆流防止リングの動作検出技術と射出量安定化技術(2017年度)