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ファナック株式会社 (FANUC CORPORATION)

工場の自動化とは?| オートメーション化の流れやメリットを解説

2025/09/26
コラム記事

ファナックの様々なタイプの産業用ロボットが並んでいる写真

少子高齢化が進む日本において、製造業の現場では人手不足が深刻な課題となっています。こうした状況の中、工場の自動化は単なる効率化の手段ではなく、産業の持続可能性を左右する重要な鍵となりつつあります。しかし、いきなり全ての工程を自動化することは難しいでしょう。自動化には適切なステップを踏み、できるところから少しずつ進めることが必要となります。
ここでは、工場の自動化の概要と、もたらすメリット、自動化に対する課題を解説。併せて工場の自動化を行う際の流れ、工場の自動化を成功させるために知っておきたいポイントについても紹介します。

 目次

工場の自動化とは?

工場の自動化とは、人が担っていた工場内の各種作業を、産業用ロボットや工作機械の導入などによって代替し、作業の効率化を図ることです。「ファクトリーオートメーション」「FA」とも呼ばれます。

日本における工場の自動化は、1950年ごろから注目され始めました。1956年には、富士通信機製造(ファナックの前身)が日本初のNC装置(工作機械などを自動で制御する装置)を開発し、それを契機に工場の自動化に向けたさまざまな研究・開発が進められていきました。1970年頃には、コンピューターによる数値制御を可能にしたCNC装置が登場し、さらに1980年代には、自動車業界や電機業界を中心に産業用ロボットが急速に普及しました。これにより、日本の製造業は飛躍的な効率化と品質向上を実現し、日本経済を今日まで支える重要な基盤となっています。

工場の自動化には産業用ロボット活用が有効

工場の自動化を進めるには、産業用ロボットの活用が非常に有効です。
少子高齢化による人手不足や、少量多品種生産へのニーズが高まる現代において、システムの導入や再構築のしやすさは、ますます重要視されています。産業用ロボットは、作業の自動化・高速化・高精度化に貢献するだけでなく、プログラムやロボットハンドを変更することで、一台で多様な作業に対応できる汎用性を持っています。
特に近年では、センサー技術の進化やAIの活用により、これまで人にしかできなかった作業もロボットによる自動化が可能となり、適用範囲が広がっています。そのため、現代の工場における自動化の取り組みでは、まず産業用ロボットの導入を検討することが一般的となっています。

産業用ロボットが工場で働いている写真

産業用ロボットが工作機械へワークをロードしている写真

最近では、人と協力して作業できるように設計された「協働ロボット」が注目を集めています。協働ロボットは、人と接触すると安全に停止する機能を備えており、同じ作業空間で人と一緒に働くことが可能です。従来の産業用ロボットとは異なり、ロボットと人を隔てる安全柵が不要なため、設備をコンパクトに設計できるという利点があります。
中でも、ファナックの協働ロボット「CRX」は、アームを直接手で動かして操作内容を教える「ダイレクトティーチ機能」など、初心者でも簡単に扱える機能が充実しています。自動化が初めての現場でも導入しやすく、スペースに制約のある中小規模の工場などで採用が進んでいます。

人が協働ロボットに触れている写真

人と協働ロボットが一緒に働いている写真

工場の自動化がもたらすメリット

工場の自動化には、具体的にどのような利点があるのでしょうか。ここでは、工場の自動化がもたらすメリットについて解説します。

生産性向上・コスト削減

産業用ロボットや工作機械による工場の自動化は、作業効率化や省人化につながり、企業全体としての生産性向上やコスト削減を実現します。特に機械は24時間連続で稼働することもできるため、生産力を大幅に上昇させることも可能です。また自動化することで生じた余剰資源を研究開発に回すことで、将来的な競争力アップも期待できます。

品質を安定化

工場の自動化は、製品の品質を安定させるうえでも大きな効果があります。人による作業では、作業者のスキルや経験の差、さらには体調などの影響で、作業の精度や製品の品質にばらつきが生じることがあります。しかし、産業用ロボットや工作機械を導入することで、ヒューマンエラーや作業の遅れを抑えることが可能になります。近年では、センサー技術の進化により、人の手作業よりも正確かつ迅速に作業を行えるようになっており、高いレベルで品質を安定させることができます。

人手不足の解消

工場の自動化は、人手不足の解消にも大きく貢献します。少子高齢化の進行により、日本では労働人口が減少し、社会全体で人手不足が深刻化しています。近年では、賃金を引き上げても十分な人材を確保できないケースが増えています。
このような状況の中で、工場の自動化を進めることで、製造に必要な人員を削減し、人手不足の問題を緩和することが可能になります。自動化された設備やロボットによって、安定した生産体制を維持しながら、持続可能な運営が実現できます。

作業者の安全を確保

工場の自動化は、作業者の安全性向上にも大きく貢献します。生産ラインには、重労働や危険を伴う作業が含まれることがあり、たとえ十分な安全対策を講じていても、長時間労働による疲労や体調不良が原因で事故が発生するリスクを完全に排除することはできません。さらに、粉塵や薬品など、人体に悪影響を及ぼす環境で作業を行うケースもあります。こうした危険な作業を機械に置き換えることで、作業者がケガをしたり、最悪の場合死亡するような労働災害を未然に防ぐことが可能になります。特にロボットは耐環境性に優れており、過酷な環境でも長期間安定して稼働することができます。このように、自動化は作業環境の安全性を高めるだけでなく、誰もが安心して働ける職場づくりにも寄与します。

工場の自動化に対する課題

工場の自動化には、いくつかの課題も存在します。ここでは、工場の自動化に対する課題について解説します。

設備投資のためのコストがかかる

工場の自動化を進める際には、初期投資が必要になる点を考慮することが大切です。産業用ロボットや工作機械の導入には、本体価格だけでなく、制御ソフトウェアの導入費用、設置工事、周辺機器の整備など、さまざまなコストが伴います。これらをすべて含めると、初期段階でまとまった投資が必要になる場合もあります。
そのため、自動化によって得られる生産性の向上や人件費の削減といったメリットを総合的に比較し、投資効果をきちんと見極めることが重要です。特に近年は人件費の上昇傾向が続いており、長期的な視点で見れば、自動化による効率化がコスト面でも有利になるケースが増えています。

メンテナンスやトラブルへの対応が必要になる

工場の自動化に欠かせない産業用ロボットや工作機械は、定期的なメンテナンスが必要です。適切なメンテナンスを行わなければ、機械が本来の性能を発揮できず、生産効率が低下する可能性があります。また、予期せぬトラブルが発生した場合には、生産ラインの停止といった重大な影響を及ぼすこともあり、導入後の保守・メンテナンス体制が整っているかどうかは、長期運用の成否を左右します。メーカや販売代理店のサポート内容を事前に確認し、トラブル時の対応スピードや部品供給体制もチェックしておくと安心です。

自動化に対応できる人材を確保する必要がある

工場の自動化を進めるには、産業用ロボットや工作機械に関する専門知識を持つ人材の確保が必要になる場合があります。特に産業用ロボットの導入にあたっては、作業者が安全面や操作方法についての特別な教育を受ける必要があり、正しい知識を身につけることが求められます。さらに、自動化の工程によっては、高度な技術力が必要となるケースもあります。
人材の確保が難しい場合には、工場の自動化に特化した「SIer(エスアイヤー)」と呼ばれるシステムインテグレーターと連携することも有効です。

作業スペースが不足するおそれがある

工場の自動化を進める際には、作業スペースの確保にも注意が必要です。導入する設備によっては、周辺機器や安全装置を含めて広いスペースを必要とする場合があり、特にスペースに限りのある工場や生産ラインでは、レイアウト設計に工夫が求められます。
こうした課題には、人と協力して作業ができるよう設計された「協働ロボット」の導入が有効です。協働ロボットは、ロボットと人を隔てる安全柵などの大がかりな安全設備が不要になることもあり、限られたスペースでも柔軟に導入できます。確保できる作業スペースに応じて、最適な産業用ロボットや工作機械を選定しましょう。

工場の自動化を行う際の流れ

工場の自動化には、いくつかの課題も存在します。ここでは、工場の自動化に対する課題について解説します。

Step1:現状分析と課題の明確化

生産の現状を把握し、どの工程にどんな問題があり、自動化によってどう解決を行いたいかを検討します。

Step2:設備仕様・コストの検討

設備仕様(生産能力、無人運転時間、部品供給方法、トラブル時の対応)を検討し、初期・運用コストを算出して費用対効果を確認します。

Step3:設備・技術の選定

どのような産業用ロボットや工作機械を使用して、どのような設備にするかを周辺機器と共に検討します。
近年ではシミュレーターなどを用いるのが一般的です。

Step4:自動化設備の調整

シミュレーターなどで検討した設備を、実際に組み上げ、実ワークでテストをします。
課題抽出を行い、システムが安定するまで改善を行います。

Step5:自動化の導入・メンテナンス

実際の生産に導入します。導入後も定期的なメンテナンスを行います。

Step6:工場全体への自動化の普及

同様の手順を繰り返し、工場全体を自動化します。
優先順位が高く、かつシンプルな工程から自動化するとスムーズに自動化できます。

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工場の自動化を成功させるために知っておきたいポイント

工場の自動化は、いくつかのポイントを押さえる必要があります。最後に、工場の自動化を成功させるために知っておきたいポイントについて解説します。

高信頼性の設備をそろえる

自動化された設備では、工程が複雑になるほど使用される部品点数が増加します。1つのシステムでも、最低でも数十から数百のパーツが組み込まれており、そのうちの1つでも故障すれば、システム全体が停止する可能性があります。さらに、場合によってはライン全体の停止に発展するリスクもあります。ライン停止が発生した場合、予定していた利益確保ができなくなるだけでなく、修理費用に加え、待機中の人件費や光熱費などの追加コストが発生することも考えられます。
このような事態を未然に防ぐためには、構成される部品・ロボット・工作機械すべてにおいて、故障率の低い「高信頼性の製品」を選定することが不可欠です。信頼性の高い設備で構成されたラインは、停止リスクを大幅に低減し、安定した生産体制の構築につながります。

 ▶「止まらないライン」を実現するために、設備の信頼性にこだわることが、工場自動化成功の第一歩です。

メンテナンスや故障対応など、アフターサービスの充実したメーカーを選ぶ

どれほど高信頼性の設備を導入しても、定期的なメンテナンスは不可欠です。メンテナンスの際にはラインを停止する必要があり、これは生産が必ず止まる時間=ダウンタイムとなります。さらに、機械である以上、突発的な故障が発生する可能性もゼロではありません。
このようなダウンタイムを最小限に抑えるためには、サービス体制の充実したメーカーを選定することが非常に重要です。特に、全国にサービス拠点を持ち、迅速な対応が可能なメーカーであれば、トラブル時の復旧もスムーズに行えます。
加えて、以下のような観点から製品やメーカーを選ぶことも有効です。

壊れない:メンテナンス頻度が少ない設計の商品
壊れる前に知らせる:故障やメンテナンス時期を高精度で予測・通知できるシステムの有無
壊れてもすぐ直せる:故障時に迅速な修理が可能な商品の構造やサービス体制

これらの要素を備えたメーカーを選ぶことで、生産ラインの安定稼働を支え、工場自動化の効果を最大限に引き出すことができます。

 ▶「止まらない工場」を実現するには、設備の信頼性だけでなく、サービス体制の信頼性にも目を向けることが不可欠です。

自動化を支える人材の確保

工場の自動化においては、設備の操作や保守に加え、安全管理や生産ラインの柔軟な組み換え対応も重要な要素です。
特に産業用ロボットの操作には、正しい安全知識と操作スキルを習得するためのトレーニングを受講し、適切な教育を受けることが義務付けられています。突発的に発生する保守や生産品目の変更には、設備や制御に精通した人材がいることで、迅速かつ柔軟な対応が可能になります。

 ▶ 自動化の効果を最大限に引き出すには、設備を安全かつ効率的に扱える人材の確保と育成が重要です。

工場自動化のプロに相談する

工場自動化は、単なる設備導入ではなく、生産性・品質・コスト・安全性など多岐にわたる要素を総合的に設計・最適化するプロジェクトです。そのため、専門的な知識と経験を持つプロフェッショナルの支援を受けることが、成功への近道となります。

プロに相談するメリット
・現場に即した最適な自動化プランの提案
・設備選定から導入、運用までの一貫したサポート
・トラブルやリスクの事前回避
・補助金・制度活用などの情報提供

特に、自動化の初期段階では「何から始めればいいかわからない」「どの技術が自社に合っているのか判断できない」といった悩みがつきものです。こうした課題も、経験豊富なプロに相談することで、的確な方向性を見出すことができます。

 ▶ 迷ったら、まずプロに相談する。それが、自動化成功への最短ルートです。

適切なパートナーと組んで、工場の自動化を成功させよう

工場の自動化は、生産性の向上やコスト削減といった明確なメリットをもたらします。特に、労働人口の減少に伴い人手不足が深刻化する現代においては、人材の確保や育成にかかるコストも年々増加しています。
こうした状況の中で、工場の稼働を効率的かつ持続可能なものにしていくためには、工場の自動化が不可欠です。自動化は、単なる省人化ではなく、安定した品質・柔軟な生産体制・長期的な競争力の確保を実現するための重要な手段となっています。
そして、自動化を成功させるためには、適切なパートナーとの連携が欠かせません。技術力・実績・サポート体制を兼ね備えた信頼できるパートナーと組むことで、導入から運用までのプロセスをスムーズに進めることができ、リスクの最小化と成果の最大化が可能になります。

工場自動化の最適解であり、理想的なパートナー。ファナック(FANUC)

工場自動化は、生産性向上・コスト削減・品質安定・人手不足対策といった多くの課題を解決する鍵です。しかし、その成功には「高信頼性の設備」「充実したサービス体制」「専門的な知見」「適切なパートナー選び」が欠かせません。
そのすべてを兼ね備えた企業が、ファナック(FANUC)です。

■ 高信頼性の商品で「止まらない工場」を目指して

世界トップシェアを誇るCNC制御装置と産業用ロボットを中心に、高性能・高信頼性の設備を提供。
「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」という設計思想で商品開発を行っています。メンテナンス頻度の少ない商品だけでなく、故障予知や自己診断機能を備えたIoT技術・AI技術も充実し、ダウンタイムを最小限に留めます。

■ 世界100ヵ国以上 280拠点以上のサービス体制

「サービスファースト」の理念のもと、国内外に広がるサービスネットワークにより、迅速な対応と長期的な安心を提供。
国内だけでも20箇所以上のサービス拠点を構えます。また、開発した商品はお客様が使用し続ける限り保守を提供する「生涯保守」を行っています。

■ 実務に即した研修体制

工場の品質向上や生産性改善、コスト低減に貢献するため、実務に即した実習を中心とした研修コースを常時開設しています。豊富な経験を持つ講師陣が、ものづくり現場で役立つ知識と技術の習得をサポートいたします。

■ プロフェッショナルによるトータルサポート

CNC制御、産業用ロボット、ロボマシン、AI・IoTを融合したスマートファクトリー構築を支援。世界100か国以上にサービス体制を展開し、グローバルな導入・運用支援体制を構築。自社工場でも完全無人化を実現しており、そのノウハウを顧客にも提供しています。
さらに、最新の技術を備えたロボットや機能、新しいコンセプトの協働ロボットなど、次世代のスマートファクトリーを支える技術を多数展開。特に、ファナックではFA・ロボット・ロボマシンの各分野が連携し、導入から運用、改善提案まで一貫したサポートを提供。多数の部品メーカーや設備メーカー(SIer)と連携し、工場の自動化に関してトータルパートナーとしてサポートします。
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